【仕事力】生産性を高める働き方

日本の職場には奇妙な文化があります。「忙しい」と言える人間が偉く、評価してもらえる文化。予定がぎっしり詰まったカレンダー、山積みのタスク、深夜までの労働、休日出勤。バブル崩壊後も「24時間働けますか」、というキャッチフレーズもうけて忙しく働いていることが「頑張っている証拠」として崇拝されるようになりました。
しかし脳科学では、人間の集中力が持続できるのは、せいぜい90分が限界とされています。それ以上働き続けた脳は、そのパフォーマンスが大きく低下している。そのような状態で長期間働いても思考の質は著しく落ち、ミスも発生、生産性は低下しています。
長時間労働=多くの成果 ではないのです。
また忙しさは、時に「思考停止」の隠れ蓑になります。「忙しい」と公言していれば、他者から攻められることもないし、忠告されることもない。「頑張ってるんだなー」と。あんなに頑張っているんだから、人事考課で報いてあげないと、という心理を動かします。
すなわち、戦略的思考や生産性向上のための思考などは必要なく(思考停止)、やっているアピールだけしていればよいため、イノベーションなど生まれることは決してありません。
海外には面白い事実があります。Googleは以前、勤務時間の20%を自由な研究に使う「20%ルール」を設けていました。GmailもGoogle マップも、この「自由な研究」から生まれました。スリーエムの業務時間の15%を自由な実験に使えるルールから生まれたのが、有名な「ポスト・イット」でした。
創造的なアイデアは忙しさやプレッシャーという追い詰められた脳からではなく、ゆとりのある脳から湧き出てくるのです。
追い詰められて力を発揮するのは「漫画の世界」だけでしょう。
ビジネスの世界では「頭脳を如何に有効に使うか」がイノベーションの基盤となります。
脳を有効活用するためにはストレスを与えてはなりません。スティーブ・ジョブズもよく瞑想をしていました。ポイントは「意識的に何もしない時間」を作り、脳を落ち着かせることです。
散歩する。公園のベンチで風景を静かに楽しむ。お茶をゆっくり飲む。このような「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳の休息状態こそ、アイデアの統合や問題解決が密かに進む時間です。「デフォルトモードネットワーク」はぼんやりしている時や安静時に活性化する脳の神経ネットワークのことで内省、記憶の整理、未来の想像、創造的な発想に関与するとされています。
私は毎晩ベッドに入るとこのモードとなり、思考が自動的に整理され、本質に近いインサイトを獲ることが頻繁にあります。
大きな成果は「働いた時間」からではなく、「素晴らしい思考」から生まれるものです。後者を望むなら、「忙しいとは言わない=自ら思考停止モードに逃げ込まない」、「意識的に脳を休憩させる時間を持つ=デフォルトモードネットワーク」ことが必要なのです。
