【企業価値】株式会社ポケモン

ご存じの通り、ポケモンは子供たちにとって人気のキャラクターであり、物語です。幼少期にポケモンを知り、アニメやゲームなどで子供たちは長年に渡り親しんでいます。

大学生になっても世界大会に参加するなど、その人気の長さには驚かされます。近年ではポケモンGOにより、ポケモン世代でない年齢層にまでその世界を拡げました。

株式会社ポケモンが大切にしてきたのは、単なる人気やブランド戦略ではなく、「ポケモンの世界観」です。ポケモンセンターやポケモンレストランを訪問しても、その世界観を一番に大切にしていることが伝わってきます。

横浜みなとみらい地区で開催されたポケモン世界大会でも、そのイベントや装飾ひとつ一つに対してポケモンの世界観を丁寧に創っていました。地域のポケモンマンホールも世界観のひとつだと思います。

この大切にされた世界観に魅了され、子供たちそして大人になってもポケモンに引き寄せられていると思います。

しかし今回、マクドナルドとのコラボにより、その世界観が棄損されてしまったと思います。特に、ハッピーセットを購入するような子供たちにとっては悲しい事件であり、彼らに対してポケモン世界観を壊してしまいました。

推察ですが、コラボの話を持ち掛けたのはマクドナルドさんでしょう。子供に絶大な人気を誇るポケモンにあやかってハンバーガーセットの売上を伸ばしたいから。立場的には株式会社ポケモンの方が上。一方の株式会社ポケモンは、ポケモンは既に十分人気はあるが、ハッピーセットを通して子供たちにポケモンの幸せを追加的に届けられればそれはうれしいこと、ということを期待していたことでしょう。しかしハッピーセットは即完売し前者のニーズは充足されましたが、後者のニーズは満たされませんでした。

短期的な小銭儲けだけを考え、ポケモンに一切興味のない転売ヤー(外国人、学生など)が子供たちおよび株式会社ポケモンの期待を裏切り、ポケモンの世界観に傷をつけたのです。当然、マクドナルドの落ち度ではありますが、株式会社ポケモンももっと慎重にコラボレーションをするか否か判断すべきでした。

マクドナルドさんはポケモンの世界観を守ってくれるのか、棄損させないか。「ちいかわ」の失敗事例が既にあったのですから、厳しくマクドナルドさんの対策などを評価すべきであったと思います。

ビジネスですから当然「カネ儲け」は必要ですが、それを短期的視野で意思決定してしまうと、長年大切に積み上げてきた世界観を壊すことにつながるという事例です。

長年続く企業は、経営者、経営層、管理職、従業員すべてが入れ替わっていきます。その入れ替わりの中で、その時代の金銭的な圧力に屈して、長年積み上げてきた大切な価値観を棄損させてしまうことはあってはなりません。

株主至上主義のROA、ROEの改善が叫ばれていますが、投資家は短期収益しか考えていません。何十年も事業を継続させていくという責任は投資家にはありません。一方で経営者にはその責任があり、それを次代にバトンタッチしていく責任があります。

LTVの視点で考えることが、企業と顧客の関係性を末永く良好にしていくには必要なのです。

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